ファッションや洋服に興味のある人はほとんどが、表現手段は多岐に渡れど「人と同じでは嫌だ」というマインドを有していると思います。
それに対して、既製服は工業製品なので不特定多数に向け作られた性質のもので、個体差が無いように品質を管理され生産され、普通は千から万、10万着以上同じものが生産されています。
現実にタンスの中にあるのは1着なので、自分以外にも同じものを着ている老若男女のスケールを可視化出来る事はおろか、気にする人もあまりいないと思います。
高感度なブランド服は高感度な客層が支持しているので、その限られた層に向け洗練された生産数に留まると思いますが、それでも年商何十~百億規模の人気ブランドともなれば型数から逆算して一型数百数千規模以上の生産数が無くては計算が合わないと思っています。
そこまで考えると、自分だけの為に存在する服というものは注文服以外ほぼ存在せず、冒頭の「人と同じでは嫌だ」は服そのものの事では無い事になり「大事なのはどう着こなすかだ」と論点がフェードして行ってしまいます。
価値=希少を前提とするならば、既製服とはそれに相反するもので「人と同じでは嫌だ」という本当の意味に限界を感じがちです。
しかし、先の規模の高感度なブランドでもサンプル以外で1点しかないコート、数点しかないジャケットも生産しており、量産に向かない縫い手の裁量が問われるプリーツや手刺繍による装飾や付属の取り付けのマニュファクチャリング要素を多く含む製品の存在があります。それを目の当たりにする機会があり、その時は大変感動致しました。
それに触発され、あくまでも既製服で(自作服ではなく)他の誰もが持ち得ない自分仕様の服という商品展開を目標に据えるようになりました。
GER(Garage.U.W Exclusive Reciprocity)
テーラーやファクトリーに従事した縫製技術者と共に作る1点ものコレクション。 ハンドソーイングと工業用ミシン、更には手工業の工程を多く含むプロダクトです。
既製服のレベルで在りながら意図的に個体差を出して製作したり、カスタマイズや別生地に置き換えた1点ものをお届けする取り組みで、その人だけしか持っていない仕様を造っています。
1着1着が自分だけのもので構成されるならば、旬も流行りも自分の世界観の中で愉しめ、それを選んで着ている理由や愛着が生まれ、断捨離する意味も希薄になると考えています。
その為、型数に対して膨大な品質表示という副産物が出たりしますが、皆様に気持ち良く着て頂くために、既製服として在らなければなりません。
服を作る事までがゴールであるならば容易ですが、永く支持され継続持続を可能とする取り組みであるために、パターン会社や縫製工場などの生産背景「商標」や「品質表示法に基づく表示」は既製服の定義として前提にあります。
また、やりたいことをやった結果高額になってしまったなどという事が無いよう、生産数、生産プロセス、コストに基づく適正な企画力と価格設定などもとても大事な事と捉えています。
最後にお知らせです。
Garage.U.W Exclusive Reciprocityの方向性を確信したきっかけの一つとしてあるのは、 HSKWKFとの珈琲染め協業です。
そこで経験した、埼玉県指定伝統工芸士の瀬藤貴史氏による作品として史実に基づく1000年前と同じ材料を使い、1着1着異なる風合いで染め上げられた草木染めは既製服と1点ものの両立の手ごたえを実感した取り組みでした。
price 19,800yen (18,000 yen + tax)
color WHITE
SIZE 44/46/48
MADE IN JAPAN
Garage.U.W in the BASE / FOR APP